ライフサイエンス用語集

せ(ぜ)

成熟細胞 【せいじゅくさいぼう】

特定の生物機能をもった細胞。幹細胞と違って分化能力はない。

生体アパタイト 【せいたいあぱたいと】

ハイドロキシアパタイトの一部が置換された六方晶系を基本とする体内での石灰化物の一種。

生体機能性官能基 【せいたいきのうせいかんのうき】

生体機能を持った官能基。 ※「官能基」参照

生体機能性材料 【せいたいきのうせいざいりょう】

生体機能を持った材料。

生体機能性セグメント 【せいたいきのうせいせぐめんと】

生体機能を持ったセグメント。

生体吸収性 【せいたいきゅうしゅうせい】

体内で材料が分解あるいは水可溶化され、その場所から吸収、消失すること。分解メカニズムにより、2つに分類される。生体分解性と生分解性。
生体分解性とは、材料がH+やOH-で単純に加水分解されること。合成高分子は主にこの分解過程をとる。
生分解性とは、材料が酵素分解されること。タンパク質、多糖、核酸などの天然高分子はこの分解過程をとる。

生体骨 【せいたいこつ】

いわゆる体内にある天然の骨。人工骨に対応する言葉。

生体シグナル因子 【せいたいしぐなるいんし】

細胞が作る細胞の「接着」、「増殖」、「分化」、「移動」を制御する「液性因子」、「タンパク質」、「ペプチド」、「遺伝子」などのこと。
※「細胞増殖因子」、「細胞培養因子」、「細胞分化因子」参照

生体組織工学 【せいたいそしきこうがく】

細胞の増殖、分化を促すための細胞周辺環境を整える生体材料(バイオマテリアル)技術、方法論のこと。5つの基盤技術がある。
 1)体内での細胞の増殖、分化のための足場(人工の細胞外マトリクス)技術
 2)細胞の増殖、分化のための培養技術
 3)体内での再生誘導のためのスペース確保技術
 4)生体シグナル因子の生物活性を高めるためのドラッグデリバリーシステム(DDS)技術
 5)細胞の機能を修飾、増強するための改変技術

生体適合性 【せいたいてきごうせい】

体内に埋入された材料が細胞や組織に障害を与えずなじむ性質。生体適合性には、界面適合性と構造適合性がある。
界面適合性には、血液適合性・組織適合性(細胞接着性)などが あり、構造適合性には、力学的強度や柔軟性、サイズ・形状などのデザイン特性もある。
生体適合性を幅広く考えると、他に生体反応などの安全性、物理化学的・生物学的な機能性、そして適合性を考慮しなければならない。

生体内運命 【せいたいないうんめい】

体内に入った物質の動きのこと。一般的な動きは、血液中に入る(吸収)、組織、臓器に分布、組織、臓器で代謝(分解あるいは分解され、利用される)、フン尿、呼気から排泄される。
物質の大きさ、電荷、親水性-疎水性などの性質によって、生体内運命は変化する。

生体内分解吸収性材料 【せいたいないぶんかいきゅうしゅうせいざいりょう】

酵素分解であれ非酵素分解であれ、人の体内で消滅分解、溶解、埋入部位から消失する材料。

生体バリア 【せいたいばりあ】

体内に存在する物質の移動通過を抑制、制御している障壁(バリア)のこと。例えば血液中に入った物質が組織に到達するステップを考えた場合には、血管壁がバリアとなる。

生体(内)分解吸収性高分子 【せいたい(ない)ぶんかいきゅうしゅうせいこうぶんし】

生体内分解吸収性材料と同じ。

生着率 【せいちゃくりつ】

移植した細胞が、体内で生存、その生物機能を発揮する割合。

成長因子 【せいちょういんし】

細胞が分泌する蛋白のうち、細胞を増殖させたり分化させるなど性質を変える機能を持った蛋白の総称。

静電引力 【せいでんいんりょく】

静電的(正-負の相互作用で)に他の物質を引き寄せる性質。

生分解性高分子 【せいぶんかいせいこうぶんし】

生分解性材料と同じ。

生分解性材料 【せいぶんかいせいざいりょう】

生物学的(酵素や菌体などの微生物)な力によって分解して消滅する材料。

生理活性物質 【せいりかっせいぶっしつ】

細胞の接着、増殖、分化、移動、あるいは細胞からのタンパク質分泌など生理活性を制御している物質。タンパク質、ペブチド、糖、脂肪酸など、いろいろな種類の物質がある。

積層造形法 【せきそうぞうけいほう】

粉末を主たる原料とし、積層毎に硬化、もしくは溶解凝固を繰り返すことで、必要な形状を3次元的に構築する技術。

世代数(population doubling) 【せだいすう】

培養細胞が分裂した回数。

石灰化 【せっかいか】

リン酸カルシウムが生理的に生成し、基材に沈着すること。

石膏の硬化反応 【せっこつのこうかはんのう】

石膏が固まるメカニズム。

接触角 【せっしょくかく】

物質表面の親水性-疎水性を評価する数値。
例えば、材料表面に水滴をのせた場合の水滴の輪かくと材料表面との間の角度のこと。この角度が小さくなれば表面は親水性となり、逆に大きくなると表面は疎水性となる。

接触阻害 【せっしょくそがい】

正常な動物細胞を培養すると、培養容器面に接着して単層で運動・増殖し、細胞と細胞が密に接触すると一定配列をとって運動や増殖が停止する。
これを細胞運動・増殖の接触阻害という。正常細胞が一定の組織を形成しているのはこの機構によると考えられている。

接着期 (培養におけるフェーズ) 【せっちゃくき】

播種後、細胞が培養面上に沈降し、インテグリンを介して接着するまでの期間。

刹那リットル 【せつなりっとる】

刹那は、10の-18乗の意味、アトリットルのこと。百京分の1リットルに相当する。細胞内のミトコンドリアなどがこの程度の体積である。

セメント質 【せめんとしつ】

歯根表面を被覆する硬組織。

セラミックス 【せらみっくす】

金属以外の無機化合物の総称。

セルカルチャーディッシュ 【せるかるちゃーでぃっしゅ】

細胞を培養・継代する器具。ポリスチレン製が主で、表面をプラズマなどで処理している。

セレクチン 【せれくちん】

分子内にカルシウム依存性のレクチン様ドメインをもつ接着分子。
白血球に発現するL-セレクチン、炎症時に血管内皮細胞に誘導されるE-セレクチン、ヒスタミンやトロンビンなどの刺激により血管内皮細胞や血小板に発現するP-セレクチンの3種類が存在する。

線維芽細胞 【せんいがさいぼう】

結合組織を構成している主な細胞。 ※「結合組織」参照

線維性疾患 【せんいせいしっかん】

感染、傷害などによって細胞が死滅した場合、組織や臓器の一部分に欠損が生じる。この体内欠損は、応急的に細胞から過剰に産生されたコラーゲン線維によって埋められる。この異常コラーゲンの多い組織を線維化組織という。
この線維化組織によって組織や臓器の機能が障害あるいは不全となる病態を組織性疾患という。その代表例には、肝硬変、慢性腎炎、 肺線維症、拡張型心筋症、動脈硬化症などがある。

繊維(顆粒)力学補強 【せんい(かりゅう)りきがくほきょう】

繊維あるいは顆粒を組み込むことにより、3次元材料の力学強度を高めること。

旋回培養 【せんかいばいよう】

細胞培養の1つの方法。培養液(細胞の栄養液)を撹拌しながら培養する方法。
撹拌していることで、細胞周辺の培養液が動き、細胞への酸素や栄養の供給、細胞の出す老廃物の除去効率がよく、静置培養法に比べて、細胞の培養状態がよいと考えられている。

先天性筋ジストロフィー 【せんてんせいきんじすとろふぃー】

筋ジストロフィーは筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称である。
その中で、出生時より筋力の低下を認めるものを先天性筋ジストロフィーと呼ぶ。

ゼラチン 【ぜらちん】

体内で最も多く存在するタンパク質であるコラーゲンをアルカリ、酸あるいは酵素処理して構造を変化(変性)させた物。これまで広く治療用材料として臨床に用いられている生体吸収性高分子。
変性:タンパク質はアミノ酸が化学的につながった糸状の分子であり、この糸が特別な立体構造をもつことで生物機能を発揮している。この立体構造がつぶれ生物機能がなくなること。

零電荷点 【ぜろでんかてん】

酸化物表面の水酸基電離による正負の電荷がなど価になるpH。各酸化物固有の値を取る。

前駆細胞 【ぜんくさいぼう】

細胞は、未分化状態からある生物機能をもつ成熟細胞へと分化する。この分化過程で、ある分化方向が決まった状態(コミットしたというcommitted state)で、しかも分化能力をもつ状態の細胞のこと。